春の学割を始めた理由

 値下げという選択肢を手放す、と書いた数時間後に「春の学割」というプランを出した。その心は?(お金の話になるので、見たくない人はやめておいてね)

 コロナ関係なく、常に連泊を推奨したい。理由は多い。当たり前のことだけれど連泊すると俄然町での滞在時間が増える。1泊だと初日に移動+宿の周辺散策、2日目にちょっと遠出+移動、というパターンが多い。戸隠や松本などへ足を伸ばすと、かなり駆け足での観光になる。それを連泊にすると、2日目にちょっと遠出+ラウンジでゆっくり、3日目に初日に行けなかったところや気に入ったところへ再訪ができる。宿としてのメリットは、ゲストとの信頼関係が構築できる。おすすめをどんどん伝えられる。純粋にリネン代が浮く。そして掃除の手間も少し省ける。

 今回の学割は、直接予約に限定することで360円ほど(宿泊の12パーセント)かかる予約サイトの決済手数料を抑える。現金決済に限定することでカードの決済手数料(100円)ほどを抑える。そして連泊によるリネン代(200円。ただ実際には長期の場合は3日に1度くらいはシーツの交換をしている)を抑える。これがお金の話。

 加えて心理的なところでいうと、社会人と学生さんから同じ金額をもらっていて、それはある程度仕方ないよなという経営者目線はあるんだけれど、前に連泊してくれた大学生が、いかに食事やらを切り詰めて泊まりにきてくれたかを嬉しそうに話してくれて。彼は今も時折泊まりにきてくれるんだけれど、彼に会う旅にそのときの自分の気持ちを思い出す。

 町を若者が回遊するというのは活気が出る(いや、これに関しては若者だけでないんだけれども)。ただ、ゲストハウス利用者のマジョリティである彼らが、旅先でその土地の学生と交流することで、化学変化が起こってほしい。

 だったら常日頃から連泊割引や学割やったらいいじゃん、という声も出るような気もするけれど、正直、そこまでの余力なく日々をギリギリで運営している。通常料金で泊まりにきてくれるゲストを断って余裕のある経営では、現状ない。

 そんな時にこのコロナ。ワーホリながのという総務省のプログラムで滞在していた大学生が「コロナの影響で春休み伸びちゃいました」と教えてくれた。話を聞くと、バイトも減らされたりで時間はあるけれどお金はない、と。安易な値下げは考えていなかったけれど、お互いにメリットがあるのであれば、期間限定で打ち出してみるのもいいのかもしれないな、と思った。

 いろんな考えが存在すると思う。経営者として、ホストとして、そして宿を一歩でれあば自分も旅人、そういう一面も持っている。それでもそのいろんな考えを持ちながら、細く長くこの場所を育ててゆくために舵を取る。店主も人間。間違うこともあるかもしれない。後悔することもあるかもしれない。しかしながら、この先ゲストを迎え続けるために、知恵を絞るのだ。

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