観光客を輸入できないなら

 20代前半の頃、カナディアンロッキーの南の玄関口・バンフで仕事をしていたことがある。日本から団体でやってくる旅行者を空港で出迎え、大型バスのなかでガイドをしながらホテルへ案内したり、1日一緒に観光をしたりする仕事でした。バンフという街は多くのホテルがありますが、その中のひとつにバンフスプリングスホテルというたいそう立派な、中に入ると迷路のような大きなホテルがありますが、そこの創設者は「この絶景は輸出できないのだから、観光客の方を輸入するのだ」と言って、その地にホテルを建てたそうです。まぁ、ガイドをやっているときはそういう細々したネタを旅行者に毎日お話していたわけでした。

 そして、まだまだ連日お騒がせしている新型コロナウィルス。ツイッターでどなたかが、「コロナウィルスこそマスクしろ」なんておっしゃっていて、クスッと笑ってしまいました。

 新型コロナウィルスが世間を賑わせて、ちょうど1ヶ月ほどたち、長野県長野市にあるうちの宿でもうちに予約状況が寂しいものになってきました。観光客に来てもらえない状況。これはバンフスプリングス ホテルの逆バージョンですね。観光客に来てもらえないのであれば、何かを輸出することを考えなくてはと思い、結果思い立ってから2時間ほどでとりあえずのECサイトを作ってみました。作るというより、登録と言った方が良さそうですね。

 取り扱いはオリジナルの手ぬぐいとマスキングテープ。そして御朱印帳や書籍もアップしてみました。これが大きな収入源に繋がるとは思っていないのですが、何もしないわけにもいきませんので。

 春になればウイルスも自滅してくれると信じてみると、今年はいっそう春の訪れが待ち遠しい。今、旅に出ることを躊躇している方々の気持ち、痛いほどわかります。ですので、キャンセルのお電話の時、そんなに申し訳なさそうにしないでください。春になったらまたお会いできると信じております。今は旅に出たい気持ちと旅に出る資金を貯めておいてくださいね。

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