値下げという選択肢を手放す
価格の話。2010年10月に開業した1166バックパッカーズは、開業当初からずっと守り続けていることがある。それは「値下げをしない」ということ。
10年前の開業時、相部屋は2600円に設定した。そこから、2800円になり、3000円になり。今も平日は3000円だけれども、土・祝前日は3500円にあげた。2〜3名で使える個室は一部屋で7200円という価格でスタートして、今は7800円。ちなみに土・祝前日は8400円。予約サイト経由だと手数料云々もあり、いつでも一部屋で9000円。
数日前に個室をチェックアウトしたフランス人3人組からレビューが届いた。全体的にありがたい内容だったけれど、コストパフォーマンスだけかなり悪い評価だった。個室は3人で9000円。つまり一人あたり3000円。同時期に6人でドミに3連泊してくれた海外勢も価格の話になった時に「東京では3泊してひとり3000円だったよ〜」と。
自分が旅をする立場からしたら、特に長期で旅をする場合、一泊あたりの宿代100円でさえ塵も積もれば〜で後々大きく影響してくる。価格は安いに越したことはない。特に今はオリンピック、コロナの影響で全国的に宿泊代が下がっている。安価で泊まることに旅人も慣れている。うちは相対的に見ると他宿と比べて旅人のお財布には厳しい価格になっている。それは重々に承知の上で、下げずにやらせてもらっている。だからそういう価格にも関わらず来てくださるゲストには感謝しかないし、逆に価格で他館に流れてしまう状況も仕方がないというか、そんな方のなかにもギリギリのところまで悩んでくれた方がいると思えばありがたい話でしかない。
コロナコロナで思うようにお客さんが来てくれないこの頃だけれども、価格を下げるという選択肢を持たないだけで悩みがひとつ減る。東日本大震災のときに経験した。時間が解決してくれる。待てば海路の日和ありというやつだ。それまでたち続けていられる体力、我々は持っているはず。
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