ためらいの情報発信
大学生のころ実家のあった尼崎市から阪急電車にのって、梅田(大阪駅)を通過し、今度は地下鉄に乗って、アルバイト先へ通っていた。途中に通る梅田は朝のラッシュ時は人の流れに乗れば目をつぶっていても地下鉄の駅につくくらい自分は無だった。帰りはラッシュより一足早いことが多く、なぜか毎日のようにやっている服屋さんのセールや薬局のお姉さんの声かけで「買わないと損する…」感覚になって脳みその深いところまで使わず財布を開けていた。そういえば、そういう生活に疲弊して、「もう少し人口密度の低いところ」に行きたくって、長野県で就職したんだった。
どうして急にそんな話をし出したかというと、今のGo To トラベルキャンペーンや、じゃらんネットのスペシャルウィークなど今だけのお得な情報をツイッターで発信している自分を、ふと客観的に見た時に、「あぁ、これって、見てるひとは嬉しいんだろうか?」と立ち止まってしまったから。
「お得な情報を伝えたい。どうせだったら少しでもお得に来れた方がいいよね!」と言いたい今の自分が、「お得な情報が来るたびになぜか焦って、そういう情報に疲れてしまった」昔の自分を思い出した。
わからない。本当にわからない。
高くっても(いや、決して高くはない順当な値付けであると思っているが)1166バックパッカーズに泊まりたいから、という思いで来てくださる方がいるのはこの上なく嬉しい。一方で、そう言ってくださる方にはぜひお得に泊まって欲しい、そんな風にも思ってしまう。
またこのコロナ禍という微妙な状況下で、「旅に行きたいけれども、今はまだだよな」と思っている方に、「今だけお得なセールやってますよ!」と何度も伝える意味がどこにあるだろう、などと考える。
情報はときに有益で、ときに心をざわつかせる。
飯室でした。
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