どっちを向けばいいのか
東京で感染者が増えているとニュースが伝えている。20~30代の若年層が多いとか。長野県は、「北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、鹿児島、大阪への往来を慎重に」と言う。
時々、「県民限定で宿泊OK( = 県外のかたお断り)」や「○○エリアの方はご遠慮ください」という表記を見る。本当を言うと我々宿屋は、旅館業法第5条によって、地域限定の宿泊拒否はできない。しかしながらそう言ってしまう宿屋の気持ちが理解できるのは同業者だけでなく、きっと保健所ですら「そうですよね…」と黙認している現状なのかもしれない。地域限定で宿泊OKにしている宿屋はリスクを感じながらも、そうせざるを得ないと判断しているんだと思う。
コロナに関してSNSで騒がれることに信憑性がないと気づいていても、心がざわつき、さっき決めたばかりの今後の予定が揺らぐ。あぁ、この状況で宿を再開してもいいのだろうか…と。
その一方で長野県は、全国との交流を積極的に図る「県外需要拡大期」に入った言う(後ろに「首都圏など感染が拡大する地域では積極的な呼び掛けはしない方針」と付け加えているところに、県もどうしていいのかわからないどっちつかずの気持ちが伺える)。
旅行を促進するために新幹線は半額になり、Go to キャンペーンは内容も決まらないままに2週間後には始まる、という情報だけが流れる。
余談だが、Go to キャンペーンは、おそらく我々のような小さな安価な宿には打撃にしかならないように思う。割引率が高いときにこそいつもは泊まれない、ちょっと背伸びをした宿に泊まりたい。相部屋?ゲストハウス?それは後回しだ。どうせ交通とのパッケージにもなっていないだろう、それならパッケージの方が断然お得だ、と。もちろんそれでもゲストハウスを選んでくれる人はいると信じているが、全国すべてのゲストハウスに今までのようにゲストで賑わうのはこのキャンペーンが終わって、さらにその先だろう。
このコロナ禍中、自分のところと同じ頃に開業したゲストハウスがどんどん閉じる決断をしてゆく。その一報が入るたびに胸が詰まる。
我々のような小さな宿屋はどうしたらいいのか。前に進めが良いのか、まだ立ち止まっていれば良いのか、舞台から降りるべきなのか。
飯室でした
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