任される、任す

 自分がアルバイトだったり、契約社員だったり、正社員で働いたころを順繰りに思い出す。自分の場合はこれまで雇用形態に関わらず、仕事を任されるとそこが自分の居場所のように思えて頑張れた。その理由のひとつは、年齢にあった雇用形態だったというのもあるとは思うが、一番大きい部分は「仕事を任せてもらえるか、否か」だったように思う。

 では被雇用者からみて「仕事を任せてもらう」というのはどういうことか。逆にいうと雇用主からみて「仕事を任せる」というのはどういうことか。どうやったら任せてもらえて、どうやったら任せたくなるか。

 ハタチからの3年くらいは大学の単位はほとんど取っていたので、週に3~6日ほど人材派遣などをしている会社でアルバイトしていた。まぁ勤務先は主に水族館だったけれども、人が足りなければ関空や天王寺動物園、ワンミュージアム、飲食の博覧会、博物館、大阪ドーム、宝くじ売り場、ユニバーサルシティ駅など、いろんなところで仕事を経験させてもらった。その時は「お願いされた仕事は断らない」というのが自分のなかであった。「飯室は使いやすい」みたいなのはあったと思うし、それが自分の居場所であり、加えてハタチには十分すぎるお給料もいただいていた。

 その後、3年海外で現地ガイドや編集の仕事をする。若気の至りというのか、当時こそ会社に不満もあったけれども、ツアー中に目の前のお客さんたちが大爆笑で楽しんでいる姿をみると、本当に楽しい仕事だなぁと思い、楽しませるために、そして恥を書かないために休みの日もフードコートで英語で書かれた分厚いテキストを読み込んだり、山に連れていってもらったり、ネタを探しながら過ごしていた。職場は知り合いゼロの異国の地での数少ない自分の居場所だった。

 帰国してから正社員として旅館で働く。(残業代を発生させないためか?わからんけれど)初年度から旅館経験もないのに役職をいただき、そのくせ「仕事は自分で見つけてやれ」という感じで放置気味だったのでフロント業務の合間に好き勝手パソコンに向かってOTAの管理画面をいじったり、バラバラだった顧客データを一元化したりしてみた。自由にさせてもらっていたからこそ、やりたいことは色々あった。

 どうして任せてもらえたのか、自由にやらせてくれたのか。それはわからないけれど、今だからこそ、当時の上司に感謝。自分はなかなかうまく「任せる」ことができていないのかなぁ。

 飯室でした

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