延泊の理由

 観光の視点からすると、ネガティブなこと続きのこの秋〜冬なのですが、そんな中でも「やっぱりもう1泊してもいい?」という延泊フィーバーが続いています。2名で1泊だったフランス人くんたちがまた戻ってきたり、2名で2泊だったスペイン人くんたちが結局4泊になったり(もっと伸びるかも?!)、当初2泊予定だった日本人女子が4泊になったともったら6泊まで伸びたり。徒歩で帰れる1泊男子ですら2泊になったり、1泊のベルギーちゃんも2泊に。

 この延泊フィーバー、旅人をそう決断させる要因はなんだ?と考えたところ、やっぱり、1166バックパッカーズのような街場にあるゲストハウスは、宿単体ではなく街(エリア)も一緒に「好き」になってもらう必要がある、と再認識。

 節分の夜、チェックインそうそうに宿での恵方巻き作りを楽しんだスペイン人くんたちは、翌夕に行った居酒屋で長野のご夫婦と知り合い、翌日は車で野沢温泉へ連れていってもらった。そして戻ってからは宿の恵方巻き作りで出会ったこまつやシェフの餃子を食べに西の門食堂へ。一度チェックアウトしたフランス人くんたちは小布施で出会ったワイナリーのかた(?)とおしゃべりしていたら車で温泉に連れていってくれることになり、延泊の電話をかけてきた。偶然にも同い年ひとり旅の日本人3人は夜中まで一緒に飲みにゆき延泊になり。

 こうして、「偶然にも隣に座った」というようなローカルの方々が「じゃぁ、どっかいく?」と声をかけてくれたり、宿で偶然に出会った人たちが意気投合したり。日々、宿では偶発しているのだ。

 トークイベントなんかにお呼びいただき登壇する際に、「宿はともすれば地域と関わらずに観光客とだけのやりとりでも成り立つように思われるかもしれないけれど、街場のゲストハウスは宿単体ではなりたたない」とお話します。ゲストハウスに泊まりにくるひと(少なくとも1166バックパッカーズに泊まりにくるひと)の多くは地域に片足を突っ込みたい。ガイドブックに載っていない経験がしたい。あらかじめセットアップされたものではなく、いきあたりばったり、自分ならではの体験をしたい。「どこにいった、何を見た」ではなく「誰と行った、誰と見た」かが重要。

 もちろん自分が住み、働いている地域は楽しいにこしたことがない。我々のような宿側の人間が好きな地域で旅人が楽しんでくれるのはこの上なく嬉しい。

 地域があってこそ成り立っている宿ですので、ぜひ地域のみなさま引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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