やめたらどうなる
宿を初めて10年弱。急に宿をやめるつもりはさらさらないけれど、会社勤めのかたが「あぁ、仕事やめよっかなぁ〜」なんてふとしたときに思うのと同じくらいの感覚で「やめたらどうなるかなぁ」なんて考えたことは何度かある。宿主だって人間ですから。で、そういう弱気なことを考えるときは、大抵の場合が閑散期だ。
旅は日々を頑張っている自分へのご褒美であったり、家族との余暇であったり、リフレッシュだったり、目の保養だったり。まぁ、いわば切羽詰まっていない。だから、東日本大震災のときも、大雪も、台風も、暖冬も、もちろん今回のコロナウィルスなんかの影響なんかもまともに受ける。
個人事業でやってる宿主の、少なくとも私の精神は、片足の、そのつま先の、爪の先くらいの、ギリギリのところでバランスをとっている、やじろべえのようなものだ。だからやっぱり、閑散期には「やめたらどうなるんだろうな〜」なんて思うことがある。
思った結果、「いやいや、まだ辞められないでしょ〜」という決断になる理由は多々ある。例えば、1166バックパッカーズで出会って結婚したひとの顔を思ったり、1166バックパッカーズで働いてくれたスタッフたちの顔を思い出したり、まるで第二の家のように宿に遊びにくる自分の子をみると、やっぱり細くとも、長く続けてゆくということに意味があると思う。自分が始めた宿は、自分の子供のように大切で、愛おしいものだ。
幸いにも、雪が少なく閑散とした1月中旬を超えてからは、例年ほどではないが、そこそこに混み合う日が続いている。しかし、コロナウィルスの件で疲弊している観光地は多い。例年のこの時期に中国人観光客を多く受け入れていた地域、またSNSでちらっと目にしたがチャーター機で帰国した方々が滞在している勝浦市など、踏ん張っている地域をたくさん目にする。正直、これは「明日は我が身」でもある。
自分に何がどうできるわけではないけれど、早く事態が収拾し、たくさんのかたが旅に、観光に出て、宿も土産物屋もそれぞれが、気持ちよく日々を過ごせるようになれば…と思うのです。
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