詩乃ロス

 前回のブログ更新から随分とご無沙汰してしまった。日付を見ると1ヶ月ぶり。この間、書く意欲がなかったわけではない。それとは逆に、インタビュー原稿やら宿の紹介記事やら、どちらかというと書くことに追われていた。

 このブログに書きたいことはたくさんある。この1ヶ月のなかでの1番の出来事は、ヘルパーとして詩乃さんという女性が来てくれたことだ。詩乃さんは8年前に1166バックパッカーズに旅人として宿泊してくれた。その後、結婚され、退職され、引越しされ。今回は新居に引越し後まだ1ヶ月しか経っていないにも関わらず長野入りして1166バックパッカーズで過ごしてくれている(お会いしたことないけれど、詩乃さんを長野に送り出してくださった旦那さんに、勝手ながら感謝)。

 詩乃さんはひと月の長野滞在の様子を体験記としてnoteに綴ってくれているので、詩乃さんがヘルパーとしての勤務に至った経緯などはそちらで見ていただきたい。

https://note.com/page_turner/m/m3d4f72482eab

 詩乃さんはあと10日ほどで長野を去ってしまう。我々スタッフはこれからやってくる「詩乃ロス」を少しずつ感じ始めている。それほど詩乃さんは我々の日常に欠かせない存在になった。それはどうしてなのか、客観的に考えてみる。

  1. ヘルパーという立ち位置

  2. 住み込み

  3. 詩乃さんの年齢、経験値、キャラクター

 この3つ。1つずつ解説、と思ったが、どうも織り交ぜないと書けないようなので、以下、織り交ぜてみる。

 私(飯室)が1166バックパッカーズの店主、つまり雇用主である。他にアルバイトスタッフは3名。そしてヘルパーの詩乃さん、というメンバーで構成されている。多くのゲストハウスの場合、ヘルパーは短期間のボランティアスタッフ。朝の掃除など簡単な作業を数時間手伝う代わりに宿泊代や食費が相殺される。ただ詩乃さんの場合は特に宿の日常の仕事(つまり、掃除やチェックイン、アウトなど)には関わってもらっていない。メインで行ってもらっているのは、3人のアルバイトスタッフのインタビュー記事を書いてもらうこと、とした。その理由は、正直 "なんとなく" 、だった。たぶん詩乃さんが、ヘルパーに応募してくれた頃、自分自身がインタビュー原稿を書いていたからだったのかもしれない。

 詩乃さんは先月頭に長野入りし、宿に住み込み、他のスタッフと寝食を共にしている。もともと人の話を聞くことを意識的に行なっているんだろう、数日のうちに、スタッフにとってなんでも話せるお姉ちゃん的存在になった。

 雇用主の私としてはスタッフ個々の話にとても興味があった。どうしてこの宿で働こうと応募したんだろう。そもそもどういうことを楽しみ、悩み、今に至るのだろう。これからどういう世界に飛びこんで行きたいのだろう…。ただ、雇用主の私がそういうことを聞くと、どこかしら面接のようになりかねないし、私自身に個々のスタッフの想いを受け止められる器があるとも思わない。そもそも個々のスタッフが "話したい" と思ってくれるかどうかも怪しい。人見知りの自分は、特にこの数年で入ったスタッフとの距離感に難しさを感じていた。仲良くはなりたいが、雇用主と被雇用者の間にはやはり1本の境界線のようなものはあるだろうし、年齢も下手すれば親子ほど違う。不器用な自分としては、このコミュニケーションというのは実に難しいものだ。

 そんな中、立場的に雇用主でも被雇用者でもないヘルパーで、かつ年齢的にも私とスタッフの間に位置する詩乃さんから上がってくるインタビュー原稿はとても興味深い。みんな、よくここまで話したな〜と思うし、こんなことを考えていたのか〜といつもハッとさせられる。

 今回は詩乃さんだったから、というのはもちろんだけれども、今後も良いご縁があればヘルパーとして来ていただくのも良いのでは…と思っている。仕事の補助というよりも、私自身・スタッフ自身が前向きに働き、暮らし、次のステップに進めるきっかけになるように。

https://1166bp.com/

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