1166bp的、これだ!の寝具マット

 ゲストハウスをはじめてすぐのころ、仙人のような出で立ちの日本人が泊まりにきたことがあった。彼は彼の身長を優に超えるようなボロボロのバックパックを背負い、ヒゲ面で、長い髪に茶系のハットをかぶっていた。彼は言った。

「オーナーさんは何カ国回ったんですか?」

 実のところ、それほどたくさんの国を回ったわけではないし、行った国も英語が通じる安全なところばかりだった。それを正直に伝えた。その答えは彼にとって満足のいくものではなかったのかもしれないし、一方で自分の旅の話ができる相手がいたことで喜んでくれたのだったかもしれない。細かいことは覚えていない。

 私は旅先での行動パターンが規則的だった。外に飲みに行くこともほとんどなかったし、クラブに行くようなこともマレだった。

 旅が好きというよりも、宿が好きだったからだ。宿はすごい。予約さえしていれば、「ここにいて良い」権利をもらえる。(少し人の目を気にするが)本を読んだり、本を読んでいる振りをしながら友達になってくれそうな人を探したり、自炊をしたり、自炊をしながら一緒に食事を食べられそうな旅の仲間を探したりできる。それは、ともすれば自分自身の存在意義、誰かに必要とされているという意識が消えてしまいそうになる長い一人旅の最中の小さな暖かい灯のような気さえしていた。自分の宿もそういう場所になれば、と開業以来11年に渡り思っている。

 前置きが長くなってしまったが、前述の通り自分の場合は「旅」のなかで「宿」で過ごす時間が長きを占める。だから自分の宿では(多くのお金を投じることはできていないが、そのかわりに知恵を絞って、ゲストが)心地よく過ごせるようにと願っている。

 ラウンジでの交流や町の情報もだが、宿では眠る時間も長い。相部屋という部屋タイプではなかなか熟睡ができないと思う。ある程度は仕方がないと思っていただきたいが、こちらもできる努力はする。自分のなかでの眠りへのこだわりはマットを数年前に変えたこと。開業当時は、三つ折りマットの上に布団を敷くスタイルだったが、安価なものを使っていたために数年で "せんべい" になった(しかもこちらの都合でいうと、敷布団2枚分を毎日コロコロ掃除するのは面積的に大変)。その後は、色々とマットを試し買いしてみて、行き着いた答えが

高反発(206N)

密度30D

厚み10センチ

 専門的な知識はないので、それぞれネットなりで調べてもらったらいいのだが、1166バックパッカーズとしては、これがゲスト目線で(+価格の上でも)、選ぶところとなった。

 このマットの利点をもう一つ付け加えるとすると、三つ折りできるところだ(1166bpではストレートタイプのものもつかっている)。厚みがあるので、自立する。ストレートタイプもまぁ立てるが、三つ折りの方ならかなりの安定感。ゲストが入れ替わるなか、掃除の際は連泊でないかぎり毎日布団に風を通し、ベッドのフレームを拭く。つまり、自立できるかどうかは、かなり重要なのだ。

 ということで、久しぶりにマットについて熱く語ってしまった。寝具でいうと、他にも冬の掛け布団(羽根)のキロ数だとか、いろんな(個人的な、勝手な)こだわりがある。その辺はまたいつか。

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