情報へのアクセス方法

 じわじわと変化を感じることの一つに、個々の旅人が情報に直接アクセスしやすい環境になったよね、ということ。

 宿を開業した2010年のころ、ラップトップもスマホも、そういったデバイスを何も持たずに旅をしているひともけっこう多かった。うちもそうだけれども、周りの宿でも、備品として「ゲスト用のパソコンあります」と書く宿も多かったくらい、それは必要とされていた。

 でもいつの頃からか、ゲスト用のパソコンの出番は年に数回程度になり、彼の定位置もゲストが届くサイドテーブルからスタッフしか開けられない引き出しの奥へと移動された。新しいスタッフは電源のいれかたもわからないかもしれない。

 そういえば、紙モノのフライヤー類も隅の方に追いやられていった。時折その隅に追いやられたフライヤーコーナー前に立つ旅人もいれど、以前の比ではない。「今度、○○市に行くんですが、オススメのゲストハウスはありますか?」なんていう問い合わせもめっきり少なくなったし、海外ゲストからの依頼を受け次の宿へ代行で電話予約をすることも今はほとんどない(予約代行電話をかけるとき、宿のひととおしゃべりできて楽しいんですけれどもね)。

 それもこれも、wifiの環境が(日本は遅れがちではあるけれど)徐々に整備され、スマホの保有率が上がったから。私もスマホユーザーだし、なんだったらパソコンもワイマックスも常に持ち歩いていて、どこでも情報にアクセスできる。

 ただ、そんな私が言うのもなんだけれど、スマホの情報から離れたところにある情報の信憑性やそのやりとりの心地よさみたいなものも、忘れたくないですよね。 

]]>