映画の途中を一緒に

 宿をやっていると毎日のように(いや、正直なことをいうとこの半月くらいは全然お客さんが来ていないから、毎日というのはこの場合はウソになってしまうけれども)いろんな方が来てくれる。初めましての方(や2度目ましての方)との少しばかりの会話や、場合によっては椅子を寄せ合いしっかりと話すわけなんだけれども、そういうタイミングで「長い映画のなかのひとコマをご一緒させていただいているようなものだな」、と感じることがある。

 自分が交差してたこの瞬間だけ一緒に見せてもらっているこの風景。それよりもっと前に彼、彼女に何があったかは知るよしもないし、これから後に何が起こるのかも同じく。映画を途中から見だしたようなもの。ただ彼、彼女の口調からその余韻を感じ、この先にある(かもしれない)出来事にともにわくわくしたり、不安になったりする。続きが気になるところではあるが、私が体感できるのはそこまで。その映画の主役は彼、彼女自身で、私はこの瞬間にちらりと現れた脇役に過ぎない。

 ネットで拾える「いい言葉」的なのに、「人生の主役は自分自身だ!」みたいなの、あるじゃないですか。あんまり意識したことなかったし、そういう "いかにもいい言葉" みたいなのって、押し付けられている気がしてあんまり得意じゃないんですが、でもそう言うのを実感していたな、自分。なんて。 なんだかオチのない話でした、今日も。

 飯室でした

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