歯車

子供を自宅から徒歩3分の保育園に送り届け、その足で出勤。その際に徒歩だと善光寺さんを通る。朝早いというのもあるのか、関東の緊急事態宣言の影響なのか、がらんとしていました

ハッと目についたのが仁王門から山門までに敷かれた石畳。この遮るものなく遠くまで続く景色は、こんな時だからこそ見られるもの。我々もなんとか、この道のように真っ直ぐに前へ進むしかないなぁ、なんて。

大学を卒業してそのあと1年間フリーターをしてお金を貯めた23才のころ、人生初でひとりで海外に行きました。大学では英語の授業はとっていなかったけれど、高校時代にぼちぼちやっていたので(少なくとも今よりは)喋れていたと思います。でも初めての一人暮らしに、初めての海外生活。レールの上をゆくようにホームステイをして語学学校に入ったところ、すぐに挫折を味わいました。3点の理由がありました。

1点目は、語学学校の授業が「ハァイ、ハウアーユー?」という、小学生のようなところからスタートして、やりがいが見出せなかった。

2点目は、他人の家に「お邪魔する」という状況に馴染めなかった。ホームステイはお金と住居を交換しているわけなので、いわば宿泊業に近い部分なんだけれども、今自分の行なっている宿泊業よりも圧倒的に自分は「お客さんではない」(それはいい)で、一方で「歓迎されていないお客さん」のような気がしたからだ。ホストファミリーもサバサバと「副収入必要だからね」とおっしゃっていて、まぁ、そりゃそうだなと今は理解できる。

3点目は社会の歯車になりたいと思ったから。語学学校を休んでも誰も困らない。一体自分は誰を幸せにできているんだろう、誰に必要とされているんだろうと自問する日々。日本では学生時代から4年に渡り同じ会社で働いていたからある程度仕事を任されていたが、生活はそこから一転した。

そんなこんなで早々に語学学校を辞め、ホームステイを出て、履歴書を持って面接を受け、仕事を始めた。当たり前のことだけれど、自分が仕事にいかなければきっと困る人が多々出る。それを思うと、働くということがなんと気持ち良いことか。

何が言いたいかというと、こうして緊急事態宣言が出て予約が入らなくなり、ポツリポツリとほんの少しだけ残っていた予約も全てキャンセルになった。そういう状況をこの1年で2度経験している。今、予約状況としては未来のゲストは全くいない。長いトンネルをいつか出る日に、1166バックパッカーズがまた「誰かに必要とされる場所」となり、そこを運営しているスタッフも自分自身もその気持ちを味わえますように。

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