海の向こうからの

日本に暮らす我々の足元にドリルをさしてがががががーっと穴を開け、掘り続ければたどり着く先は南米(というか実際はそのあたりの海上)らしい。もちろん掘ることはできないが、理論上。そんな地球の裏側のアルゼンチンからメールが届いた。しかも日本語で。

「初めまして!わたしのなまえは○○です。アルゼンチン人です。」と書き出し、最後は「お返事をお待ちしております。ありがとうございます。」で括られていた。

しかしながらその間の文章が、なかなか読み取れない。いや、決して文章が長いわけではない。間にあるのは簡単な日本語で2文だけ。読み取れない理由は、あまりにも内容がないのだ。しかしながら、最後は「お返事お待ちしております」と言っているわけだから、相手は何かしらのこちらのアクションを期待している。

余談だが、宿の代表メールには、日本語、英語問わずにスパムメールがよく届く。1日に10件くらいはくるだろうか。楽天やらアマゾンと言いつつも読めば日本語は「?」となる書きまわし。いかにも翻訳ソフトが活躍していそうだ。英語のメールはよくわからないドルマークや「○% OFF」やら「BUSINESS PROPOSAL」なんて単語がタイトルに見える。

前述のアルゼンチン人の女子は、直感的にスパムでないことがわかったが、何を返答してよいのかがわからなかったので、その旨をひらがなで書き、下に同内容で英語も併記した。

その後、彼女からはすぐに英語で返信が来た。このご時世だからどうなるかわからないけれど、ワーホリビザで日本に来たい。その時に長野に泊まりたい。そう言った内容だった。

つい1年前までは海の向こうからだって、メールは毎日来ていた(もちろんスパムではなく)。ひとつひとつに丁寧に返信をしていたつもりだが、それでもキーボードを打つ手を止めて窓の外に目をやり、「あの国は今何時ころだろう」「日本へのフライトはどのくらいかかるだろうな」なんて考えることは希だったし、ましてや「日本に着いたらまず東京の宿泊地で14日は隔離か…」なんて心配することは皆無だった。

連絡をくれるひと一人一人に、そして1166バックパッカーズを訪ねてくれるゲスト一人一人に、当たり前のことだけれど、その人の「毎日」が存在し、その毎日のなかの小さな決断として、我々にコンタクトをとってくれている。それは本当に奇跡的なことだな、と改めて思った。

飯室でした

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